日付も変わる夜中の雨上がり、ホッホッとアオバズクのさえずりが聞こえる。
いかにも古びた洋館に棲みついた魔法の世界の住人というような、何か日常的ではないことが起きる扉が開かれたことを告げるような、そんなイメージにぴったりの声だ。
夜、地面や葉の上で鳴く虫たちも少しずつ現れ始めたようで、鳴き声でその存在を知らせてくれる。
目には見えないけれど地面の上にも、木の上にも生き物たちの暮らしが確かにある。
日中は滑川でコバルトブルーに輝く美しいカワセミが魚を取るのを見た。
日常で悲しみを感じた日には、自然の神秘、美しさが心の渇きにじわじわと潤いをもたらすのを感じる。心は、少しでも潤いとしなやかさを取り戻す必要がある。
誰でも、悲しみを船に乗せ、ともに旅をしているのだ。